あなたが分からなくても、私たちが愛だと思っているわ

2023年03月03日（金）

素晴らしかったです。

映画予告の時点で悲哀の強い作品
であることは覚悟していましたが、
意外にもクスクス笑っちゃうところが
あって。

ただそれがより
悲哀への深みを増すことになるのが
ズルいんです。

※以下ネタバレ有り

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【鈴木亮平が凄い】

まず何よりも驚いたのが
主人公浩輔を演じた鈴木亮平の
身体表現の細やかさ。

同じゲイの友人と居るときや
仕事のときは自然としなやかな動きや
喋り口調になるけど、
父の前ではそれを出さないリアルさ。

作中では
ある人には最初は出さなかったのに
徐々に
そのしなやかな立ち居振る舞いになる
いきさつが
心の開き具合の表現へと繋がります。

なんと鈴木亮平、
原作者の高山真氏と親交があった方々
20人にインタビューし、
ご家族とも会って
お墓参りまでされていたそう。

流石過ぎるよ鈴木亮平。

きっとそのインタビューを通して
鈴木亮平なりに観察眼を活かした
のでしょう。

インタビューでも
「僕が想像で演じてしまうだけでは
偏見やステレオタイプを助長する
可能性があると思ったので…」
とクィア映画へ取り組む覚悟を
話していました。

『首と股関節の動きのしなやかさ』

特にここが表れているので
注目して欲しいです。

大衆演劇を5歳から観ている私には
女形を演じるのは首の動きが
かなり大切なことを知っています。

そして
股関節を柔らかく使うことで
女形特有の裾捌きができる。

恋人の龍太とベットインを済ませ
一人になったとき、
ちあきなおみの夜へ急ぐ人
を熱唱するシーンを刮目して欲しい
です。

ドリアンさんが
しっかり演技指導したと語っていて
納得の名シーン。
あぁ、はやくまた観たい。

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【クィア映画としての完成度の高さ】

※ クィア（Queer）とは
LGBTに当てはまらない性的マイノリティ
や、
性的マイノリティを広範的に包括する
概念である。

クィアは、もともと英語で
「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」
という意味を持つ語である。
かつて
男女以外の性自認や異性愛以外の恋愛に
理解がなかった時代に、
同性愛者への蔑称として使われていた。

しかし、
現在では性的マイノリティ当事者が、
ポジティブな意味で用いることが
増えている。
（MIRAI SAPORTより引用）

作中で浩輔が友人達と話すシーン。

「Wの悲劇は良いんだけど
ブルボンヌさんがよぎるのよね〜」

「出るなら出るでこれくらい出さないと間口広がらないよ〜
（大きいお腹をさすりながら」

会話の内容がリアリティに溢れすぎてる
と感じていたら
やはりほとんどアドリブだったそう！！
そこを知った上でもう一回観たい…

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【外野が色々言うな】

クィアどうとかではなく
恋愛映画としての感想です。

浩輔が龍太との愛と平和を守るために
金銭を授与するやりとりがあります。

エゴイストのキャッチコピーが
「愛は身勝手」となっている意味を
汲み取ることもできるシーンです。

いや、でも実際ね。
めちゃくちゃタイプの人が
母親の介護の為に身売りしてて、
その仕事を貫くために
好きな貴方と会うことは出来ない
とか言われたらどうですか？？？？

私もきっと同じことしてた
かもしれません…笑

とにかく龍太がズルすぎます。
あんな歳下反則！！！
沼堕ち確定！！！！

あざとすぎる！！
勘弁して欲しい！！！

恋愛と一緒でセクシャリティも
当人同士のことなのだから、
気持ち悪いとか理解できないとか
やんや言ってこないでくれるかな！？
外野のあなたに関係ありますか？？

と改めて最近のニュースも相まって
感情が昂りました。

冒頭のセリフはこの映画の中でも
最もハッとしたシーンから。

愛は身勝手
と予防線を張っておきながら、
受け取る側がそう感じるなら
それは愛なのだと。

この人になら時間やお金を
どれだけ掛けても惜しみない。
そんなパートナーが居る人達が
羨ましくなりました。

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最初は友人と観に行く予定でしたが、
事情により一人で見に行くことに…
でも一人で観に行って正解でした。
（眉毛無くなるほど泣いたので）

でもでも、
早く観た人と感想を話し合いたい…！！

ワンシープにパンフレット置いている
のでご鑑賞された方は
ご自由にご覧下さい。
（映画のパンフ買ったの初めてかも…
俳優それぞれのインタビューが
素晴らし過ぎました）

#エゴイスト
#キノシネマ天神
#ちあきなおみ
#夜へ急ぐ人